採用コラム

求人サイトの「無料お試し」から高額請求!?企業を狙う悪質商法の実態と対処法

木村裕汰

持続的な事業成長や人手不足の解消において、最適な人材の採用は企業の最重要課題のひとつです。

しかし現在、採用活動に取り組む中小企業や事業者様を狙った「求人広告の無料掲載トラブル(悪質商法)」の被害が相次いで報告されています。「無料でお試しできます」という甘い言葉に応じた結果、後から数十万円もの不当な請求を受けるケースが急増しています。実際、私自身も過去にこのような事案に遭ったことがあります。

本記事では、自社の採用活動を守るために、業界内で横行する悪質商法の手口、法的な罠、そして万が一遭遇してしまった際の対策について詳しく解説します。

木村裕汰
木村裕汰
ジョブスクマガジン 編集長
Profile
2004年生まれ、兵庫県出身。高校在学中にアフィリエイトサイトを複数運営し、独学でWeb制作とSEOの知見を深める。大学進学を機に北九州市へ拠点を移し、フリーランスとしてWeb制作の受託を開始。複数の制作会社でディレクターを務め、数多くのプロジェクトを成功に導く。 2026年2月、株式会社イコールに入社。これまでの実戦的なマーケティングスキルを活かし、求人メディア「ジョブスク」を開発。現在は、ジョブスクマガジン編集長として、採用企業のインタビュー記事などを制作。
目次

なぜ増えている?求人広告の「無料掲載トラブル」とは

このトラブルの多くは、電話勧誘をきっかけとして発生します。主なターゲットと騙されてしまう背景には、以下のような事情があります。

主なターゲット
  • 中高年経営者
  • 採用業務を兼務して忙しい採用担当者
  • 一刻も早く人材を確保したい事業者など
被害に遭う理由
  • 「採用コストを少しでも抑えたい」という企業心理
  • 「無料でお試しできるならリスクはないだろう」という警戒心の隙を巧みに突かれる

悪質業者の典型的な手口「3大ステップ」

被害に遭った企業の多くは、ほぼ共通した手順で高額請求へと誘導されています。相手業者の典型的な3大ステップを押さえておきましょう。

ステップ①:電話でのアプローチ

「今なら2週間(または1ヶ月)無料で掲載できます」「期間が過ぎれば自動で非掲載になり、勝手に有料プランへ移行することはありません」などと口頭で安心させ、契約へのハードルを極限まで下げてきます。

ステップ②:Web手続きへの誘導

「確認のためWebフォームからお申し込み(またはログイン)してください」と促されます。

罠のポイント

入力画面の目立たない場所や利用規約の細部に「期間内に解約の連絡がない場合は自動的に有料プラン(数十万円)に移行・更新する」という条項が隠されています。

ステップ③:後日、突然の高額請求

無料期間終了後、説明になかった数十万円の請求書が突然送られてきます。抗議しても「利用規約に同意している」「録音がないなら口頭説明の証拠はない」と態度を一変させて開き直ります。

なぜ法律で即座に処罰されないのか?

「これほど悪質なのになぜ警察や行政がすぐに処分しないのか」疑問に思う方も多いでしょう。ここには事業者間(BtoB)取引ならではの法的な落とし穴が存在します。

特定商取引法(クーリング・オフ)の対象外

一般の消費者保護を目的とした「特定商取引法」や「消費者契約法」におけるクーリング・オフ制度は、事業者間の取引(BtoB)には原則として適用されません。企業は「自己責任で契約内容を判断できるプロ」とみなされるためです。

証拠の残りにくさと民事の壁

電話での口頭説明は録音に残りにくく、相手業者は「規約に同意した」という形式上の事実を盾にしてきます。そのため、警察や行政も「個別の民事上の契約トラブル」と判断せざるを得ず、即座に介入しにくいのが実情です。業者はこの法制度の隙間を意図的に狙っています。

トラブルに遭わないための予防策

不当なリスクから自社を守るために、日頃の採用業務で以下のチェックリストを徹底してください。

「無料」の電話勧誘は原則断る・即決しない

口頭で「自動で有料化しない」と言われても信用せず、必ず「自動更新がない旨を書面やメールで明記して送ってほしい」と求めましょう。

Web申し込み時の「利用規約」を必ず全確認する

特に「自動更新の有無」「中途解約の条件」「無料期間終了後の扱い」「違約金規定」に関する条項は必ずチェックしてください。

やり取りの記録(電話・メール)を残す

電話勧誘を受けた際は通話を録音するか、日時・相手の会社名・担当者名・会話内容を詳細にメモへ残しておきましょう。

実際に起きた求人広告トラブルの事例

求人広告の無料掲載を口実とした高額請求トラブルは、全国の事業者や自治体・各種団体を巻き込む大きな問題となっています。裁判所によって契約無効や違法性が認められた代表的な事例をご紹介します。

事例①:電話説明と異なる「自動更新」で数十万円の請求(那覇簡易裁判所 令和3年判決)

概要

事業者が電話勧誘で「無料でお試し掲載ができる」と説明を受け、指定された手続きを実施。しかし無料期間終了後、突然数十万円の請求書が届いた。

業者の主張

利用規約に「期間内に解約の申し出がない場合は有料プランに自動移行する」と記載されており、規約に同意して申し込んでいるため有効である。

裁判所の判断

  • 電話勧誘の段階で「自動的に有料契約に移行する仕組み」を意図的に説明しなかった(沈黙による詐欺・不実告知)と認定。契約の取り消しを認め、業者側の請求を棄却しました。

事例②:全国で被害が続出した大型トラブル(東京地方裁判所 令和元年判決など)

概要

全国の数千におよぶ中小企業や個人事業主に電話をかけ、「無料掲載」をアピールして申し込ませた後、高額な掲載料を請求する手口が横行。多数の被害企業が団結して集団訴訟や被害対策弁護団を結成する事態に発展しました。

裁判所の判断

裁判所は、業者側の勧誘手法が社会通念上許容される範囲を超えて悪質であることや、公序良俗に反することなどを理由に、事業者側に広告料の支払い義務はないとする判決を言い渡しました。

事例③:学校・自治体・医療機関までもターゲットに(消費者庁・各種団体による注意喚起)

概要

民間企業だけでなく、学校法人、自治体、医療機関、PTAなどの非営利団体にまで電話勧誘が及びました。「無料」「掲載確認」という言葉で担当者を油断させ、Webでの申し込みやFAXの返送を促し、後から規約を盾に高額請求する手口が横行。

裁判所の判断

全国の消費生活センターや適格消費者団体、地方自治体が「事業者・各種団体を狙う求人広告トラブル」として公式に注意喚起を出す事態となりました。

【当社の実体験】実際に届いた「2週間無料」の勧誘電話

実は、求人サイトを運営する当社自身も、先日この悪質商法のターゲットとなりました。

経緯

ある求人サイトの営業担当者から電話があり、「2週間無料で求人を掲載しませんか?」「2週間が経過すれば自動的に非掲載になり、勝手に有料プランへ切り替わることは絶対にありません」と説明を受けました。

手続き

電話口での説明を信頼してしまい、そのまま電話を繋いだまま業者に指示された通りWeb上で申し込みを行いました。

後日のトラブル

2週間が経過した5日後に、突然「約39万円」の請求書が届きました。驚いて内容を確認すると、利用規約に『更新日前に連絡がない場合は自動で有料プランに移行する』と明記されており、電話での説明と大きく異なる内容でした。

本件については、電話口での説明と契約内容が大きく異なる「虚偽説明(不実告知)に基づく錯誤・詐欺」にあたるため、弁護士を通じて内容証明郵便を送付し、毅然とした対抗措置をとっております。

こういった詐欺があること自体は知っていましたが、電話にて「自動更新はなく、勝手に有料プランに切り替わることはない」と説明を受けていたので、まさか有料プラン料金を請求されるとは思いませんでした。特に電話での営業ではしっかりと調査をして、電話の内容を録音し、契約内容をしっかり確認する必要があります。

今振り返って、分かる不審な点

今振り返ると、不審な点がいくつかありました。

一つは、全く知らない求人サイトであったこと。ただ、全国には無数の求人サイトが存在し、どの求人サイトが悪徳業者なのか判断できませんでした。

二つは、運営会社が法人名でなく求人サイト名であったこと。運営元の法人名が一切表記されておらず、代表者名や事業所の住所も記載されていませんでした。

三つは、その求人サイトに関する情報が全くなかったこと。サイト内にリリース日などのプレスリリースなどもなく、PRTIMESなどの外部メディアにも公開されていませんでした。

最後に、請求書が届いて初めて運営会社の名称を知ることができましたが、運営会社のホームページは見当たらず、同様の被害報告の記事が散見されました。

運営会社が公開されていない場合は、担当者に聞き、事前に調べてこのような被害の報告がないか確認することが何よりも重要です。また、その求人サイトでの実績や名の知れた大手企業が掲載されているか、外部メディアがその求人サイトを取り上げているかも判断材料になります。

万が一、不当な請求が届いた時の対処法

もし同様の手口で不当な請求書が届いてしまっても、焦る必要はありません。電話口での虚偽説明(不実告知)に基づく契約申し込みは、民法上の「錯誤」や「詐欺」にあたり、取り消し・無効を主張できます。

  1. 絶対に支払わない・同意しない
  2. 証拠(請求書・封筒・発着信履歴)を現状のまま保存する
  3. 弁護士や公的相談機関へ連絡し、内容証明郵便を送る

絶対に支払わない・同意しない

一度でも支払ってしまうと契約を認めたとみなされ、返金交渉が極めて困難になります。

証拠(請求書・封筒・発着信履歴)を現状のまま保存する

送られてきた封筒(消印や届いた日付)や請求書は極めて重要な証拠となります。手書きのメモ等があっても問題ありませんので、そのまま大切に保管してください。

弁護士や公的相談機関へ連絡し、内容証明郵便を送る

自社で直接相手と交渉・口論する必要はありません。顧問弁護士や相談機関に相談のうえ、「虚偽説明に基づく錯誤・詐欺による申し込みのため契約は無効であり、支払いには応じない」旨を記載した内容証明郵便を送付して毅然と対応しましょう。

健全な採用活動を守るために

採用活動は、企業の未来を創る大切な取り組みです。私たちは健全な求人メディアとして、求職者様と企業様を安心・安全につなぐ支援を続けてまいります。

不当な悪質商法に屈することなく、正しく適切な知識を持って、大切な自社の採用活動を守っていきましょう。

北九州特化型求人サイト「ジョブスク」は?

当サイトでは、契約の自動更新は一切なく、事前に継続のご確認を行い同意を得た上で契約の更新を行なっております。

また、お客様の了承を得て、サービスのご説明や料金についてのご案内時には録音を行い、録音データをお客様へご共有させていただいております。

さらに、ジョブスクは北九州市役所の求人を掲載した実績や、TVCMを放映した経験があります。

安心してご利用いただけるよう、認識の齟齬・誤解を生まない、丁寧なご案内を徹底しております。

北九州市役所とのタイアップ:https://jobsc.jp/news/4771/

※現在、タイアップは終了しております。

TVCM放映:https://jobsc.jp/news/4778/

※現在、放映は終了しております。

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この記事の執筆者
木村裕汰
木村裕汰
ジョブスクマガジン 編集長
2004年生まれ、兵庫県出身。高校在学中にアフィリエイトサイトを複数運営し、独学でWeb制作とSEOの知見を深める。大学進学を機に北九州市へ拠点を移し、フリーランスとしてWeb制作の受託を開始。複数の制作会社でディレクターを務め、数多くのプロジェクトを成功に導く。 2026年2月、株式会社イコールに入社。これまでの実戦的なマーケティングスキルを活かし、求人メディア「ジョブスク」を開発。現在は、ジョブスクマガジン編集長として、採用企業のインタビュー記事などを制作。
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