ビジネスの場では、席順のマナーが重要な役割を果たします。特に、日本のビジネスシーンでは「上座（かみざ）」と「下座（しもざ）」の概念があり、席次のルールを理解していないと、失礼にあたることもあります。
この記事では、会議・接待・エレベーター・タクシー・飲食店など、具体的なビジネスシーン別に、適切な席順を詳しく解説します。上座・下座の基本ルールを押さえて、ビジネスマナーの向上に役立てましょう。
目次
上座・下座の基本ルール
上座は目上の人、下座は目下の人の座る位置
上座とは、目上の人（上司や取引先の方など）に座ってもらう席のことです。逆に、下座は目下の人（部下やホスト役）が座る席になります。
敬意を示すための日本の伝統的マナー
日本のビジネスでは、敬意を示すことが非常に重要視されます。席順のマナーは、その敬意を表す一つの方法です。上座に目上の人を座らせることで、「あなたを大切に思っています」というメッセージを伝えることができます。
一般的な上座・下座の配置
上座・下座のルールは、基本的に以下のようになります。
- 部屋の奥の席が上座（入り口に遠い席）
- 出入り口に近い席が下座（すぐに動ける立場の人が座る）
- 窓際や景色の良い席が上座
これらの基本ルールを理解した上で、具体的な場面ごとの席順を見ていきましょう。
会議室での上座・下座
会議室では「入り口から遠い席」が上座
会議室では、最も重要な人が入り口から最も遠い席に座るのが基本です。
落ち着いた環境で話ができるため
入り口付近は、スタッフの出入りがあったり、外部の音が入りやすかったりするため、重要な人をそこに座らせるのは失礼にあたります。奥の静かな席に座ってもらうことで、会議に集中できる環境を提供できます。
社内会議と来客対応での違い
- 社内会議
→ 社長・部長クラスが最も奥の席（上座）に座り、新入社員や進行役が入り口付近（下座）に座る。 - 来客対応の会議
→ 来客が上座、社内の人間（特にホスト役）が下座に座る。
社内外の会議で適切な席順を考慮する
「誰が最も重要か？」を考え、適切な席に誘導できるようにしましょう。
接待や会食での上座・下座
飲食店では「奥の席」や「景色の良い席」が上座
接待や会食では、基本的に奥の落ち着いた席や、景色の良い席を上座とします。
より良いもてなしの環境を提供するため
飲食店では、店員の出入り口に近い席よりも、静かで落ち着ける席が上座になります。また、窓際の席がある場合は、景色の良い席が優先的に上座とされます。
和室・個室・テーブル席の違い
- 和室（座敷）
→ 床の間の前が上座、入り口に最も近い席が下座 - 個室（テーブル席）
→ 奥の席が上座、ドアに最も近い席が下座 - オープンなテーブル席
→ 景色の良い席が上座、店員の動線に近い席が下座
相手に最大限の敬意を示し、気持ちよく食事してもらうことが大切です。
エレベーター・タクシーでの上座・下座
エレベーターやタクシーでも上座・下座がある
移動の際にも、席順のマナーが適用されることがあります。
ビジネスシーン全体での礼儀を示すため
細かい場面での気遣いができるかどうかは、相手に与える印象を大きく左右します。
エレベーター・タクシーの席順
- エレベーター
→ 操作パネルの前が下座、奥の中央が上座 - タクシー
→ 運転席の後ろ（左後部座席）が上座、助手席が最も下座
小さな心遣いの積み重ねが、良好な関係構築につながります。
宴会や懇親会での席順マナー
宴会では「中央」や「主賓席」が上座
宴会や懇親会では、主賓が目立つような席が上座になります。
主賓を最大限にもてなすため
宴会の目的は、主賓をもてなすことです。そのため、主賓が視界に入りやすく、発言しやすい席が上座とされます。
宴会場・長テーブル・円卓での違い
- 宴会場（座敷）
→ 入口から最も遠い席が上座 - 長テーブル（居酒屋など）
→ テーブル中央の奥側が上座 - 円卓（中華料理店など）
→ 入り口から遠く、景色の良い席が上座
主賓が快適に過ごせるように、適切な席を用意しましょう。
まとめ
状況ごとのマナーを意識しよう
上座・下座のマナーは、相手への敬意を示すための大切なルールです。会議、接待、移動中、宴会など、それぞれのシーンで適切な席順を知っておくことで、スマートな対応ができるようになります。
ビジネスの場では、小さなマナーが大きな印象を左右します。ぜひ、今回のマニュアルを参考に、実践に役立ててください。
